クレジットカードって持ち歩かないほうがいいのかしら? 紛失したり盗難にあったら大変よね。
こんな悩みを解決するために、わかりやすく記事を書きました。執筆は相談実績15年以上の現役ファイナンシャルプランナー(FP)が担当しています。
カードレスタイプならクレジットカードを持ち歩く必要がないし、QRコード決済だってすごく便利です。
とはいえ、カード払いに慣れ親しんだ人は、現物のクレジットカードを財布に入れておかないと不安かもしれません。
そこで、この記事では クレジットカードを持ち歩かない人が増えてきた理由や、クレジットカードを持ち歩いていないと困るシーンをご紹介していきます。
サクッと読み切れるボリュームにまとめたので、読めば数分で「クレジットカードを持ち歩かないことのメリット・デメリット」が理解できるでしょう。
クレジットカードを持ち歩かない人が増えてきた
カードレスタイプのクレジットカードが登場
友達のクレジットカードはスマホにインストールされてるみたい。わざわざ持ち歩かないで済むし、なんかカッコいいわ。
カードレスタイプのクレジットカードですね。物理的なカードが発行されず、すぐに使えるので人気がありますよ。
クレジットカードといえば プラスチックで作られた物理的なモノが一般的ですが、カードレスタイプは現物が存在しないため 主にスマホを通じて利用します。
いつでも持ち歩いているスマホで使えるため、2021年に登場した三井住友カード(CL)を皮切りに 種類も増えてきました。
・即時発行が基本(最短で数分)→申込手続きしたら すぐ使える
・スマホだけで利用できる →現物のクレジットカードを持ち歩く必要がない
・物理的なカードが不要だから 環境に優しい
ネットショッピングでの使い方は一般的なクレジットカードと変わりませんが(カード番号とセキュリティーコードを入力)、リアルの店舗ではタッチ決済しか利用できないので注意が必要です。
タッチ決済に対応しておらず、現物のクレジットカードを端末に挿入する方法しかないお店もありますから、予備の決済方法(物理的なクレジットカードや QRコード決済、現金など)がないと不安でしょう。
・三井住友カード(CL)
・Visa LINE Payクレジットカード(P+)
・SAISON CARD Digital for becoz
カードレスタイプのクレジットカードは便利な反面、スマホがバッテリー切れになれば決済できません。あまりないケースでしょうが、バッテリーが劣化した古いスマホを使っている人は気をつけてください。
QRコード決済に紐づければ 間接的にクレジットカードが使える
僕はQRコード決済派。チャージ用にクレジットカードを紐づけてあるから、現物は持ち歩かないよ。
QRコード決済でポイントがもらえるうえに クレジットカードのポイントまで貯まる場合が多くて、大変お得な方法ですね。
スマホにインストールしたQRコード決済専用アプリで、QRコードを提示したり QRコードを読み取ったりして支払う決済手段のこと。
新型コロナウイルス感染拡大時に進んだキャッシュレス化で、QRコード決済の利用率は増加している。とくに小売店や飲食店での普及が顕著。
代表的なサービスに、PayPay、楽天ペイ、au PAY、d払い、LINE Pay、Fami Pay などがある。
オートチャージ機能があるQRコード決済なら、ぜひクレジットカードを紐づけておきましょう。支払残高がなくなると自動的にチャージされるから手間も省けます。
ただし、チャージできるクレジットカードに制限が設けられているケースや、そもそもクレジットカードからのチャージができないケースもあるので、事前によく確認してください。
・楽天ペイ×楽天カード
・PayPay×PayPayカード
・au PAY×au PAYゴールドカード
QRコード決済は ポイント還元などの大規模なキャンペーンが行われたりしますよね。もし「チャージが面倒くさいし、クレジットカード払でもポイントが貯まるし…」という理由で使わなかった人なら、クレジットカードとの連携が 解決策になるはずです。
まだ 現物のクレジットカードが必要なケース
でも、現物のクレジットカードを持ち歩かないと、なんだか不安だわ…。
その気持ちはよくわかります。では具体的に、現物のクレジットカードが必要になるのは どんなときでしょうか?
・(5G、4G、Wi-Fiなどの)通信が不安定なお店で決済したいとき
・クレジットカードの券面を提示しないとサービスが受けられないとき
→提示すれば優待を受けられるカード、空港のラウンジで優遇されるカードなど
・高額商品を購入するとき
→タッチ決済では暗証番号を入力できないので、決済可能金額が少なめ
・決済方法がクレジットカードのみで、かつ タッチ決済ができないお店で支払うとき
・ATMを使ってキャッシングや返済をしたいとき(リボ払いの随時返済を含む)
やはり一番の不安要素は通信状態ですよね。携帯電話会社の設備トラブルや自然災害は いつ発生してもおかしくありません。念のため、備えの1枚(現物のクレジットカード)を財布に入れておくと安心ですね。
驚異の進歩を続けるデジタル技術。いずれは 現物のクレジットカードが無くなる日が来るのでしょう。
キャッシュレスが完全に浸透して、日本銀行が電子通貨を発行する。そんな時代が来たら、紙幣や硬貨などの現金だって消滅するのかもしれません。
クレジットカードは持ち歩かないほうが安全なのか?
スマホ決済も過信は禁物
クレジットカードを持ち歩かない「スマホ決済」なら、現物のクレジットカードを紛失したり、盗難に遭うリスクがなくて安心だよね。
でも、スマホ紛失や盗難の可能性はあります。過信は禁物ですよ。
電話番号、アドレス、写真、動画、なんでもスマホに放り込んでおく。実際、私のスマホにも膨大な個人情報が入っています。
しかし、そのスマホが他人の手に渡ったとき、セキュリティーの強度はどのくらいあるのでしょうか?
スマホのロックを解除する方法をGoogle検索してみたら、裏技がたくさん表示されました。
・【2023年最新】iPhoneのロックを自力で解除する裏ワザ
・【2023年最新10選】Androidロックを解除する最高な裏ワザ
・【最新検証】iPhoneの画面ロックを解除する裏ワザ6選!
・【解決!】Androidスマホのロックを強制解除する裏ワザ
もちろん、画面ロックが解除されたからといって 即座にスマホ決済アプリが使えるわけではないでしょう。しかし、アプリのパスワードをメモに記録したり、スクリーンショットで保存している人はいませんか?
そもそも画面ロックすらしていない強者もいて、若年層(10~30代)で88%、中年層(40~50代)で78%が画面をロックしているのに対し、シニア層(60~70代)では48%との調査結果もあります。
スマホのロックは簡単に解除されてしまう。だからスマホ決済アプリだって悪用されるかもしれない。
このくらい慎重に考えていた方が無難ですよ。
クレジットカードは補償付きだから安心
現物のクレジットカードを持ち歩いてて、もし悪用されたらどうなるの?
ご安心ください。適切に対応すれば、クレジットカード会社が損失を補償してくれますよ。
では、いったい どんなときに補償してもらえるのでしょうか? ここで 具体的な条件を確認しておきましょう。
・クレジットカード会社へ連絡した日が、不正利用から60日以内
・カード契約者本人に瑕疵(落ち度)がない
(上記は一般的な条件。この機会に、自分の契約しているクレジットカードの補償条件を確認しておこう)
もし不正利用に気づくのが遅れて、クレジットカード会社への連絡が60日を過ぎてしまえば 補償してもらえません。そんな事態になったら、めちゃくちゃ悔しいですよね。
ここで「クレジットカードの不正利用を早期発見する方法」をご紹介しておきますので、ぜひ参考にしてください。
①クレジットカードの締め日を調べ、利用期間に合わせて封筒を3つ用意する(封筒に利用期間を書く)
例)利用期間が月初から月末、今が1月→各封筒に「1/1~1/末」「2/1~2/末」「3/1~3/末」と記入
②クレジットカードのレシートを持ち帰ったら、ひたすら封筒に入れる
(順序はバラバラでOK)
③利用期間が終了してクレジットカードの請求が確定したら、利用明細をチェックする
④もし、見覚えのない店舗名があったら 封筒のレシートを探す
⑤該当するレシートが無ければ、クレジットカード会社へ連絡
⑥封筒が3つになったら、いちばん古いものを捨てる
(利用年月を鉛筆で書けば、再利用可)
他にも、クレジットカードの不正利用に対抗するポイントがいくつかありますよ。興味のある人は、こちらの記事↓を要チェックです。
紛失・盗難に弱い現金は、できるだけ持ち歩かない
つい最近、外出中に財布を落としちゃったんだ。いちおう警察に届けたけど、中身の現金が戻ってくるのは あきらめてるよ…。
現金は、いちど財布から抜き取られたら もう誰のお金だかわかりません。よほどの幸運に恵まれないかぎり 取り返すのは難しいでしょう。
クレジットカードの不正利用を心配する気持ちはわかりますが、現金が安全というわけでもありません。
落としたり盗まれたりしたとき、もしどこかで見つけても それがあなたのお金だと証明する方法がないからです(財布ごと見つかれば 話は別ですが)。
いっぽう、クレジットカードならどうでしょう? 利用停止の手続きをすれば、落としたクレジットカードは即座に使えなくなりますよね。そういう意味で、紛失・盗難に強いと言えます。
電車でスリの被害に遭ったり、うっかりカバンごと置き忘れる危険は誰にでもあるでしょう。日常的に持ち歩く現金は、必要最低限にしておくべきです。
・病院、クリニック(クレジットカードが使えるところも現れてきた)
・コインパーキング(最近はキャッシュレスが増えた)
・コインロッカー(新型はキャッシュレス決済もOK)
・有料道路(ETC未対応)
・飲食店(とくに屋台、キッチンカー)
・お祭り、縁日
病院に行くときは保険証など事前に準備するものがありますし、それ以外のシーンで必要になるのは少額。とりあえず、千円札を数枚 お財布に忍ばせておけば大丈夫そうですね。
クレジットカードを持ち歩かないと無駄遣いを減らせる
クレジットカードは必要なときだけ持ち歩く
クレジットカードの利用明細を見てビックリ! 飲み会が多かったし、可愛いバッグを衝動買いしたからなぁ。 来月の引き落とし日が怖いわ…。
それはいけませんね。自分で支出をコントロールできるようになるまで、クレジットカードは持ち歩かないほうがいいでしょう。
クレジットカードを持ち歩いていると、手元に現金がなくても買い物ができちゃいます。しかも、最近は端末にクレジットカードをかざせば「ピッ!」で決済完了するので、お金を払っている実感がありませんよね。
つまり、クレジットカードには“お金を使い過ぎる”要素が揃ってるわけです。
もし あなたが自制できないなら、すぐにお財布からクレジットカードを出して どこかに保管してください。
自分で判断できない人のために、クレジットカード危険度を点数化する質問を用意しました。この結果を参考にして、クレジットカードとの付き合い方を考えてみましょう。
次の質問に答えて、「はい」=1点、「いいえ」=0点で計算。あなたの合計は何点ですか?。
Q1) クレジットカードを新規申込みするときにもらった会員規約は、読まずに捨てた
Q2) 保管場所に確信がもてないクレジットカードがある
Q3) 自分が契約しているクレジットカードの枚数を即答できない
Q4) クレジットカード会社の利用明細書を、確認しない月がある
Q5) 信用できる友人が困っているときは、自分のクレジットカードを貸してもいい
Q6) 手数料を知らずに、分割払いやリボ払いを利用したことがある
Q7) お金が足りないときは、クレジットカードのキャッシングで調達する
Q8) 家に帰ってから「今日は買い過ぎたな…。」と後悔することがある
Q9) とくに理由もなく、クレジットカードを3枚以上持っている
Q10) 残高不足で、クレジットカードの引き落としができなかったことがある
【診断結果】
・合計0点
→ あなたは「クレジットカードをやめなくていい人」です。これからも、快適なキャッシュレス生活を楽しみましょう。
・合計1~2点
→ あなたは「クレジットカードをやめなくていい人」ですが、油断してはいけません。気を抜くと、多重債務に陥いる要素を持っています。
・合計3~6点
→ あなたは「クレジットカードをやめたほうがいい人」です。解約までしなくても、とりあえずクレジットカードを使うのはやめてください。
・合計7~10点
→ あなたは「クレジットカードをやめたほうがいい人」です。不便だから…なんて言い訳は厳禁。今すぐクレジットカード会社へ電話して、解約を伝えましょう。
この「クレジットカード危険度チェック」は、FP相談でも使用しています。ぜひ、お金の使い方を考えるキッカケにしてください。
他にも、クレジットカードの使い過ぎを防ぐポイントがいくつかありますよ。興味のある人は、こちらの記事↓を要チェックです。
使い過ぎ防止に役立つ デビットカード
クレジットカードを持ち歩かないと、ある程度の現金を財布に入れておくことになりそう。それって 危なくない?
たしかに そうですね。でも、現金の代わりにデビットカードを使えば、問題は解決しますよ。
デビットカードをお財布に入れておけば、現金を持ち歩かなくても 預金口座にあるお金が使えるので安心です。口座の残高を超えて支払うことはできませんから、使い過ぎ防止に役立ちますよ。
預金口座と紐づけられたカード。口座にある残高をショッピングで利用できる。
【引き落としタイミング】 即時払い
【年齢制限】 15歳以上
【審査】 なし
【ポイントサービス】 あり
【支払い金額】 預金残高の範囲内
【有効期限】 あり
【使い方】 クレジットカードと同様
・タッチ決済
・端末に挿入して暗証番号入力または利用レシートに署名
デビットカードの支払い方法は「一括払い」のみです。これを不便に感じるなら、あなたは 使い過ぎのリスクが高い人。
そもそも、分割払いじゃないと払えないなら買っちゃダメ。ほんとうに欲しいなら、先にお金を貯めましょう。
クレジットカードの「分割払い」や「リボ払い」を気軽に使ってるようでは、とても健全な家計運営はできません。お財布のクレジットカードをデビットカードに入れ替えて、身の丈にあった生活をしてください。
クレジットカードを見直して2枚に絞る
クレジットカードを5、6枚使ってるんだけど、多すぎるかな?
クレジットカードが何枚もあると、お金の管理が煩雑になってしまいます。すぐに見直しが必要ですね。
あなたがクレジットカードを3枚以上持っているなら、2枚に絞ってください。特別な理由がない限り、2枚もあればじゅうぶんです。
・盗用されるリスクを減らせる
・ポイントを貯めやすくなる
・年会費のムダがなくなる
・管理がラクになる
余分なクレジットカードを持っていても、百害あって一利なし。やめるクレジットカードを選んで、今すぐ解約手続きを済ませてしまいましょう。
・ポイント還元率が低い
→ 塵も積もれば山となる。0.1%でも違えば、数年後に大きな差が生まれます。
(ポイント目的の買い物はNGですよ)
・年会費が有料
→ 「1年で〇万円以上使ったら年会費無料」もダメ。
(年会費のために余計なショッピングをするかもしれないし、管理が面倒くさい)
・使用頻度が少ない
→ めったに使わないクレジットカードはいりません。たとえ年会費が無料でも解約決定。
クレジットカードの枚数を減らせば、それだけ管理がシンプルに。いちど手続きしてしまえば効果はずっと続きますから、面倒がらずに 即実行してください。
まとめ:クレジットカードを持ち歩かない理由を知って 快適なマネーライフを
生活に欠かせない決済手段のクレジットカード。とはいえ、現物がなくてもOKだったら 持ち歩きたくありませんよね。
実際、カードレスタイプの登場やスマホ決済の普及により、現物のクレジットカードを財布に入れておかなくても困らなくなってきました。
いっぽう、クレジットカードは後払い方式であるがゆえに、お金を使い過ぎてしまうという側面もあります。自分で支出をコントロールできない人には、クレジットカードを持ち歩くことがデメリットになるでしょう。
クレジットカードの特徴をきちんと理解して、安全で快適なマネーライフを送ってください。
大事なことを忘れないように、もういちどポイントの復習をして筆を置きますね。
・カードレスタイプなら、そもそも現物のクレジットカードが存在しない。
・QRコード決済とクレジットカードを紐づければ、ポイントをダブル取りできる。
・まだ、現物のクレジットカードがないと困るときもある。
・スマホ決済も過信は禁物、スマホのロックを解除されたらアウト。
・クレジットカードは不正利用されても補償してもらえる。
・日常的に持ち歩く現金は、必要最低限にしておく。
・クレジットカードには“お金を使い過ぎる”要素が揃っている。
・預金残高以上には使えないデビットカードは、使い過ぎ防止に役立つ。
・余分なクレジットカードを持っていても、百害あって一利なし。2枚で充分。
最後まで読んでくださって ありがとうございます。FPコラムでは ほかにもお金と生活インフラに関する記事を書いてるので、ぜひチェックしてくださいね!
【執筆者:内田 正雄(Uchida Masao)】
ファイナンシャルプランナー(FP)|住宅ローンアドバイザー|宅建士(資格者)|証券外務員一種
タヌキと出会うのが珍しくない、のんびりした郊外に住む ファイナンシャルプランナー(FP)。横浜国立大学を卒業後、ミサワホームに入社。マイホーム取得という大きな買い物をサポートするためにFP資格を取得。ライフプランを作る重要性に目覚め、住宅ローンの有料相談を展開する保険代理店などで多くの経験を積んだ。豊かなライフスタイルにつながる情報を発信中。