ついお金を使いすぎちゃうから「クレジットカードはやめた!」って思ったけど、なかなか踏ん切りがつかない…。どうしたらいいの?
こんな悩みを解決するために、わかりやすく記事を書きました。執筆は相談実績15年以上の現役ファイナンシャルプランナー(FP)が担当しています。
手元に現金が無くても買い物ができるクレジットカードは魔物です。貯金が苦手な人は、解約を判断するまで 使用を中止してください。
FPの実務経験で得たエッセンスをギュッ!と凝縮。サクッと読み切れるボリュームにまとめたので、読めば わずか数分で「クレジットカードの危険性と、自分が取るべき行動」をイメージできるでしょう。
クレジットカードはやめた!と思ってもやめられない理由
今さらクレジットカードをやめたら、めちゃくちゃ不便だよなぁ..。現金払いだとポイントが付かないし、もはや暮らしの必需品だよね?
たしかにクレジットカードは便利だし、ポイントも魅力です。あなたが支出をコントロールできる人なら、積極的に活用しましょう。
最近のショッピングで後悔しているモノはありませんか? お店で見ているときは すごく欲しかったのに、しばらくしてみると「なんでコレ買ったんだろう?」っていう経験は誰にでもあるもの。
事前に買い物リストを作って 予算分だけ現金を持って出掛ければ、こういうムダな買い物は防げます。誰にでもできて簡単な方法ですよね。
だけど、もしそのお財布にクレジットカードが入っていたら…。いろんな誘惑に負けて、衝動買いをしてしまうかもしれません。
クレジットカードによる無駄遣いは、あなたが考えているより ずっと多いでしょう。それでも、クレジットカードの魔力は強烈だから なかなかやめられない。これから、その理由をお伝えします。
クレジットカードは “お金を使った気がしない”ほど便利
いろんなお店でクレジットカードのタッチ決済が使えるようになって、ほんとうに便利ね!
ピッとかざすだけで支払い完了。瞬く間に決済できちゃうので、お金を使う感覚がマヒしてきそうです。
以前は署名を求められることもあって 少額で使うのは恥ずかしかったりしました。レジが混雑してたら余計に使いずらく、財布から取り出していたクレジットカードをこっそりしまって、現金で払ってたのを覚えてます(笑)
今でも高額決済では暗証番号の入力を求められますが、お店によっては けっこうな金額まで省略されるようになってきましたね。小銭のやり取りも不要で、相当な時短になってるでしょう。
でも、この気軽さのせいで ついついお金を使い過ぎていませんか?
ピッとかざしたタイミングでは 手元のお金は減らないから、お金を使った実感が乏しい(というか、ほとんど無い)のも危険です。
税抜9,800円の商品を購入(税込10,780円)
【現金払い】
1万円札×1枚と千円札×1枚を店員さんに渡す。
→ お釣り(五百円玉×1枚、百円玉×2枚、五十円玉×1枚、十円玉×3枚)を受け取る
【クレジットカード払い】
レジの決済端末に、クレジットカードをかざす。→ 終了
現金だと、すごくもったいない感じがするわね。
それがいいんです。1万円札を気持ちよく差し出せないなら、その買い物は やめてください。お金の使い方を吟味する習慣がつくと、毎月お金が余るようになるでしょう。
クレジットカード払いは、たとえ一括払いでも一時的に借金をしている状態。よく考えて使わないと、あとで返済の痛みが襲ってきますよ。
クレジットカードのポイント還元は甘い罠
期間限定で20%ポイント還元のセールをやってたから、まとめ買いしたよ。2割も安くゲットできて、すごく得したなぁ!
ちょっと待ってください。ポイント還元率と割引率は、かなり違いますよ。
還元や割引の数字は大きいほど お得感をアピールできるので、よく使われるテクニックです。簡単な計算なので検証してみましょう。
1万円の商品を20%ポイント還元で購入したなら、1万円で1万2千円の価値を手に入れたことになります。
(12,000-10,000)÷ 12,000 × 100 = 約16.7%(=割引率)
つまり、20%ポイント還元は割引率 約16.7%。もし 隣りに17%割引の商品があったら、そちらのほうが得なんです。
それでも約16.7% 節約できるチャンスなんだから、たくさん買うほうが賢いんじゃない?
そうとも言い切れません。もし食品を買いだめして腐らせたら、お金をドブに捨てたようなものです。
たとえ保存のきく商品でも置き場所に困りますよね。在庫数を管理するのも面倒ですし、掃除もしづらいでしょう。ポイントや特典をもらうために、クレジットカードで余計な買い物をしてはいけません。
・2,000円以上のお買い上げで、送料無料
→ 欲しい商品は1,980円。あと20円で送料500円がタダになる! いちばん安い780円のアイテムを追加して買ったものの、存在も忘れられてタンスの肥やしに…。
・合計3点以上のご注文で、ポイント還元率10倍
→ どうせ使うものだからと、普段使いの美容液を3本購入。数日後、もっと良さそうな商品を発見! すぐに試してみたかったけど、買いだめした3本を使い終わるまで しばらくガマンするハメに…。
毎日使うハンドソープだって、収納庫に在庫がたっぷりあったら、勢いよく2回プッシュするかも(笑)
「必要なタイミングに適切な数量を買う」 シンプルだけど、節約の基本です。
クレジットカードの魔力「見えないお金がある?」
僕のクレジットカードは年会費無料だし、一括払いなら利息もゼロ。こんなに便利なのにタダってすごいよね!
無料にする理由がちゃんとあるんです。一緒に見ていきましょう。
クレジットカードの利用額は、なんと93.8兆円(2022年)。その内訳は圧倒的にショッピングが多くて98.3%を占めます。
【クレジットカード利用額】
いっぽう、クレジットカード会社の収入割合はどうなっているのでしょう?
【クレジットカード会社の営業収入割合】
加盟店手数料が47.5%と、約半分を占めています。加盟店というのは、クレジットカードを使えるようにしているお店のこと。一括払いの利息はゼロでも、あなたがクレジットカードでショッピングをするたびに お店が手数料を払っていて、これが収入の大黒柱なんですね。
この加盟店手数料は概ね売上の2%くらい。3万円の商品なら約600円だから、けっこう高いと思いませんか? 現金払いなら手数料なんて発生しないわけで、お店だけが損をしているように見えます。
「クレジットカード使えます」なんて表示しなければ、現金で払うのに…。
それは少数派の意見かもしれません。今の時代、クレジットカードを使えるのが当たり前ですからね。
お店に欲しい商品があっても、手持ちの現金がないときの顧客心理
【クレジットカードが使えるお店】
お客さん:「カードがあるから払えるな」 → 買ってもらえる!
【クレジットカードが使えないお店】
お客さん:「不便なショップだな…。もう来ないようにしよう」 → あきらめて帰ってしまう
「キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にする」という目標を経済産業省が掲げていることもあり、現金の出番は少なくなってきました。
デビッドカードや 各種電子マネー、「○○ペイ」のようなQRコード決済が増えているものの、キャッシュレス決済の主役はクレジットカード。これからも、使えるお店は増えていくでしょう。
我が国のキャッシュレス決済額及び比率の推移(2022年)
その影響で、お財布に入れておく現金は少額にする人が増えました。なかにはお財布を持ち歩かない強者も。
スマホケースにクレジットカードを挟んでおけば、ぜんぜん困らないよ。見えないお金を持ち歩いているようなもんだし。
「見えないお金」。それがクレジットカードの魔力でもあるんです。
見えるお金(=手持ちの現金)がないのに、見えないお金で買い物ができる。すると、自分の支払い能力を超えて買い物をする人が出てきます。
「欲しい!」という誘惑に負けて、クレジットカードでショッピング
→ 大丈夫だと思って、一括払いで購入
→ 生活が苦しくなって、分割払いに切り替える
→ 高い手数料(金利)を払うことになって、「買わなきゃよかった」と後悔する
先ほどのグラフ「クレジットカード会社の営業収入割合」では、ショッピング収入が30.8%を占めていました。これは3回以上の分割払いやリボ払いを利用した人が払っている手数料(または金利)です。
金額にしてザっと5,411億円!(2022年度) クレジットカード会社の大きな収益源になっています。
3回以上の分割払いの手数料は15%程度、リボ払いの金利も15%前後(実質年利)のクレジットカードが一般的。これは結構な負担になるでしょう。
たとえば、10万円を24回払いで支払うと 16,178円も利息を払わなければなりません。とくにリボ払いは毎月の返済額が変わらないため、使い過ぎに気づきにくいのが難点。支払残高が増えるほど手数料(利息)も膨らみます。
「リボ払いでショッピングしすぎた結果、いつまでもクレジットカードの支払いが終わらない」というFP相談も増えてきました。
今いくら借りているのか? 利息がどのくらいついているのか? いつ返済が終わるのか? これを自分で把握できない人は、リボ払いを使わないでください。
クレジットカードはやめた!と決心したら危険度チェックで適性判断
「クレジットカードはやめた!」って思うけど、なかなか行動できなくて…。「クレジットカードをやめたほうがいい」のは、どんな人かしら?
じぶんで判断するのは難しいかもしれません。お金の使い方に関することですから、家族や友人にも聞きづらいでしょう。
そこで、クレジットカード危険度を点数化する質問を用意しました。この結果を参考にして、クレジットカードとの付き合い方を考えてみてください。
クレジットカードをやめるときの注意点や、やめなくていい人に知っておいてほしいことも、併せてお伝えします。
クレジットカード危険度チェック
では、さっそく始めましょう。
次の質問に答えて、「はい」=1点、「いいえ」=0点で計算。あなたの合計は何点ですか?。
Q1) クレジットカードを新規申込みするときにもらった会員規約は、読まずに捨てた
Q2) 保管場所に確信がもてないクレジットカードがある
Q3) 自分が契約しているクレジットカードの枚数を即答できない
Q4) クレジットカード会社の利用明細書を、確認しない月がある
Q5) 信用できる友人が困っているときは、自分のクレジットカードを貸してもいい
Q6) 手数料を知らずに、分割払いやリボ払いを利用したことがある
Q7) お金が足りないときは、クレジットカードのキャッシングで調達する
Q8) 家に帰ってから「今日は買い過ぎたな…。」と後悔することがある
Q9) とくに理由もなく、クレジットカードを3枚以上持っている
Q10) 残高不足で、クレジットカードの引き落としができなかったことがある
【診断結果】
・合計0点
→ あなたは「クレジットカードをやめなくていい人」です。これからも、快適なキャッシュレス生活を楽しみましょう。
・合計1~2点
→ あなたは「クレジットカードをやめなくていい人」ですが、油断してはいけません。気を抜くと、多重債務に陥いる要素を持っています。
・合計3~6点
→ あなたは「クレジットカードをやめたほうがいい人」です。解約までしなくても、とりあえずクレジットカードを使うのはやめてください。
・合計7~10点
→ あなたは「クレジットカードをやめたほうがいい人」です。不便だから…なんて言い訳は厳禁。今すぐクレジットカード会社へ電話して、解約を伝えましょう。
「クレジットカードをやめたほうがいい人」だった。ズバリ言われるとショックね…。
この「クレジットカード危険度チェック」は、FP相談でも使用しています。ぜひ、お金の使い方を考えるキッカケにしてください。
お金にルーズな自分から目を逸らしていたら、手遅れになります。
なかなか貯金ができない人や、いつも家計が苦しい人は、合計3点未満でも、クレジットカードの使用を中止したほうがいいでしょう。
クレジットカード使用再開の目安は、毎月の貯蓄率(貯蓄額÷手取り収入)10%以上。これを3か月連続で達成するなら、正常な家計管理ができています。
クレジットカードをやめたほうがいい人がとるべき行動
クレジットカードをやめるときの注意点ってあるの?
それが結構あるんです。やめてから困らないよう、ポイントをまとめてみました。
・各種サービスの支払い方法は変更したか?
手続きを忘れたまま解約すると決済されず、料金が払われない
・未払い額はないか?
分割払いやリボ払いを利用中の人は、解約すると一括請求される場合もある
・ETCカードが紐づいていないか?
クレジットカードを解約すると、ETCカードも使えなくなる
・家族カードが付いていないか?
契約者本人のクレジットカードを解約すれば、家族カードも使えなくなる
・貯まっているポイントは使い切ったか?
解約手続き後は、ポイントも無効になってしまう
・無くなると困る付帯サービスはないか?
もしあるなら、解約せずに保管しておけばいい(決済には使わない)
注意点を確認して問題なければ、即解約しましょう。5分もあれば、電話やネットでカンタンに手続きできます。
解約して不要となったカードはハサミで細かく切断し、複数のゴミ袋へ捨てるのがオススメ。ゴミ出しのタイミングまでズラしておけば、セキュリティーレベルがアップして安心です。
なお、現金を持ち歩くのが怖い人は、クレジットカードの代わりにデビットカードを使いましょう。
デビットカードなら、使った分のお金を その場で口座から引き落としてくれます。口座残高を超えて使うことはできないし、ポイントも貯まりますよ。
クレジットカードをやめなくていい人も油断は禁物
危険度チェックの結果、僕はクレジットカードをやめなくてもいいみたいでホッとしたよ。
とはいえ、油断しているとクレジットカードのトラブルに巻き込まれてしまいます。ムダを省いて、安全性を高める努力をしてください。
あなたがクレジットカードを3枚以上持っているなら、2枚に絞ってください。特別な理由がない限り、2枚もあればじゅうぶんです。
・盗用されるリスクを減らせる
・ポイントを貯めやすくなる
・年会費のムダがなくなる
・管理がラクになる
余分なクレジットカードを持っていても、百害あって一利なし。やめるクレジットカードを選んで、今すぐ解約手続きを済ませてしまいましょう。
・ポイント還元率が低い
→ 塵も積もれば山となる。0.1%でも違えば、数年後に大きな差が生まれます。
(ポイント目的の買い物はNGですよ)
・年会費が有料
→ 「1年で〇万円以上使ったら年会費無料」もダメ。
(年会費のために余計なショッピングをするかもしれないし、管理が面倒くさい)
・使用頻度が少ない
→ めったに使わないクレジットカードはいりません。たとえ年会費が無料でも解約決定。
クレジットカードに関わる家計のご相談は、ふくろうの保険Naviにご依頼ください。FPが無料でアドバイスします。
まとめ:クレジットカードをやめたら 正しい金銭感覚を養おう
クレジットカードはとても便利なので、やめるのには勇気がいるかもしれません。
しかし、危険度チェックで7点以上の人が正しい金銭感覚を取り戻したいなら、クレジットカードと縁を切るしかないでしょう。
解約を引き延ばして クレジットカードの過剰使用に陥らぬよう、くれぐれも ご注意ください。
最後にもういちどポイントの復習です。
・クレジットカードは便利すぎて、お金を使った実感が乏しい。
・ポイントや特典をもらうために、クレジットカードで余計な買い物をしてはいけない。
・見えないお金でモノやサービスが買える。このチカラが無駄遣いを引き寄せる。
・クレジットカード危険度チェックで、自分の適性を知る。
・解約時の注意点を読んで、クレジットカードを正しくやめる。
・余分なクレジットカードは解約。2枚あれば、じゅうぶん足りる。
最後まで読んでくださって ありがとうございます。FPコラムでは ほかにもお金と生活インフラに関する記事を書いてるので、ぜひチェックしてくださいね!
【執筆者:内田 正雄(Uchida Masao)】
ファイナンシャルプランナー(FP)|住宅ローンアドバイザー|宅建士(資格者)|証券外務員一種
タヌキと出会うのが珍しくない、のんびりした郊外に住む ファイナンシャルプランナー(FP)。横浜国立大学を卒業後、ミサワホームに入社。マイホーム取得という大きな買い物をサポートするためにFP資格を取得。ライフプランを作る重要性に目覚め、住宅ローンの有料相談を展開する保険代理店などで多くの経験を積んだ。豊かなライフスタイルにつながる情報を発信中。