
「インデックス投資はやめたほうがいい」という意見を耳にしたんだけど、実際どうなの?
こんな疑問を解決するために、わかりやすく記事を書きました。執筆は相談実績16年以上の現役ファイナンシャルプランナー(FP)が担当しています。



インデックス投資は、安定した資産形成の手段として人気。とはいえ、すべての方に適しているわけではありません。
この記事では、インデックス投資のデメリットや向いていない人の特徴を解説し、あなたにとって最適な投資戦略を考えるヒントが満載。さらに、やめる前に試せる工夫についても紹介します。
インデックス投資を続けるべきか迷っている方、より自分に合った投資方法を探している方にとって、有益な判断材料となるでしょう。
ぜひ、自分の投資スタイルを見直すキッカケにしてください。
インデックス投資はやめたほうがいいと言われる理由


インデックス投資のことを理解せずに運用をスタートしてしまうと、後悔するかもしれません。
そうなる前に、5つのデメリットを知っておきましょう。
軍需産業を応援したくない人もいる



我が子の将来を考えると、平和な世の中であってほしい。自分のお金が戦争兵器を作る企業に使われるなんて絶対イヤ。



その通りですね。投資とは、対象の企業を応援すること。倫理観を大切にするのは頷けます。
「インデックス」と呼ばれる“株価指数”に連動することを目指して運用される。株価指数は市場全体の特徴を反映するように算出されるため、インデックス投資は「市場全体に対する投資」とも言える。
インデックスファンドは、市場全体を網羅する性質上、軍需産業を含むあらゆる業種に投資します。
そのため、ロッキード・マーティンやノースロップ・グラマンといった軍需企業の株式も組み入れられているんです。
“オルカン”の愛称で親しまれている鉄板インデックス「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」だけでなく、「ニッセイ外国株式インデックスファンド」や、「たわらノーロード 先進国株式」、そして S&P500指数と連動させる「米国株式インデックスファンド」も、みんな投資対象して組み入れています。
では、オルカン「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を例に挙げてみましょう。
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はい。間違いなく組入銘柄のひとつですね。
ちなみに、かの有名なステルス戦闘機“F35”を製造しているのがロッキード・マーティン社。
これは、平和主義的な価値観を持つ人にとっては倫理的なジレンマとなるでしょう。
また、アルコールやタバコ関連の企業、あるいは不祥事を起こした企業にも投資することになるため、個人の価値観と相反する場合があります。
リターンが物足りないと感じるかもしれない



思ってたより、お金が増えないんだよね…。
インデックス投資は長期的には安定したリターンが期待できますが、リターンの大きさを物足りなく感じる投資家もいるでしょう。
例えば、日経平均株価の20年平均リターンは6%、TOPIXは6.5%程度です。
これは、アクティブ運用の投資信託と比較すると控えめな数字に見えるかもしれません。
暴落時のストレスに耐えられない人はやめたほうがいい
株価が大きく下落する局面では、インデックスファンドも同様に価格が下がります。



実際、株価暴落時(20%以上の下落)は、心理的なストレスがめちゃくちゃ大きかった…。
そうした状況でパニックに陥り、冷静な判断ができなくなる人は、インデックス投資はやめたほうがいいですね。
短期間で大きな利益を狙う人には向いていない



速攻でガッツリ儲けるぞ!
インデックス投資は長期的な視点で行うべき投資戦略です。
短期的な市場変動を利用して大きな利益を得ようとする投資家には適していません。
数ヶ月や1年程度の短期間で高いリターンを期待する人にとって、インデックス投資は魅力的な選択肢にならないでしょう。
資産形成の「ゴール」がないと迷走する
インデックス投資は、長期的な資産形成のための手段として効果的ですが、明確な目標がない場合は効果を発揮しにくくなります。
例えば、老後のための資金作りや子供の教育資金の準備など、具体的な目的があると良いですね。



ゴールが設定されていないと、市場の変動に一喜一憂してしまうもの。そのうち、投資の本来の目的を見失うでしょう。
インデックス投資に取り組む前に、あなたの価値観、リスク許容度、投資目的を検討してください。


こんな人はインデックス投資をやめたほうがいいかも


すぐに資産を増やしたい人



投資でお金を殖やして、来年には独立開業したい!
しつこいようですが、インデックス投資は長期的な視点で行う投資戦略であり、短期間で大きな利益を得ることは難しいです。
例えば、日経平均株価の過去10年間の年平均リターンは約10%程度ですが、これは毎年安定して10%の利益が出るわけではありません。



市場の変動により、短期的にはマイナスになることもあります。
2008年のリーマンショック時には、日経平均株価が年間で42%も下落しました。このような変動を乗り越えて長期的に資産を増やしていくのがインデックス投資の特徴です。
したがって、1年以内に大きな利益を得たいという人や、結婚資金や住宅購入の頭金など、近い将来に必要な資金を調達したい人にはインデックス投資はお勧めできません。
そういう目的なら、定期預金や短期の債券投資など、より安全性の高い投資手段を選択するべきでしょう。
投資にワクワク感を求める人



うまく投資すれば一攫千金も夢じゃないわよね? なんだかドキドキするなぁ♪
インデックス投資は、市場全体の動きに連動するため、個別の銘柄選びや売買タイミングの判断といった、投資家の腕の見せどころが少ないです。



例えば、TOPIXに連動するインデックスファンドを購入すれば、約2,100社の日本企業に自動的に分散投資されます。
これは、投資の安定性や効率性を高める一方で、「あの企業の株を買おう」「今が売り時だ」といった投資家としての判断を下す機会が少なくなるということ。
投資にスリルやワクワク感を求める人にとっては、物足りなさを感じるかもしれません。
もし、投資を趣味として楽しみたい、自分の判断で銘柄を選びたいという場合は、個別株投資や、テーマ型のアクティブファンドなどがより適しているでしょう。
ただし、これらの投資方法はインデックス投資と比べて リスクが高くなる傾向があるので注意してください。
元本割れするのが絶対に許せない人



インデックス投資って安全なんでしょ? 僕は「損するのがイヤ」な性格だから、やってみようかな…。
インデックス投資は長期的には安定したリターンが期待できますが、短期的には大きな変動があり、元本割れのリスクがあります。
例えば、2020年の新型コロナウイルスによる市場暴落時には、日経平均株価が一時的に30%以上下落しました。
こうした急激な下落は、相当なストレス。
「お金が減るのは絶対に嫌だ」「少しでも元本割れしたら耐えられない」という強い思いを持つ人にとっては、インデックス投資のリスクは受け入れがたいものかもしれません。



元本保証を求めるなら、定期預金や国債などのローリスク商品を選択するべきです。
ただし、これらの商品は金利が低いため、インフレに負けてしまう可能性があることも理解しておきましょう。


インデックス投資をやめずに工夫する方法もある


インデックス投資に不安を感じる方もいますが、完全にやめてしまう前に、以下のような工夫を試してみるのもアリですよ。
ポートフォリオを見直してみよう
インデックス投資だけでなく、他の資産クラスも組み合わせることで、リスクを分散し、より安定したポートフォリオを構築できます。
株式市場の変動を緩和する効果がある。
例)日本国債インデックスファンドを組み入れる → 株式市場の下落時にも一定の安定性を確保。
不動産投資信託(REIT)は、株式とは異なる値動きをすることがあり、分散効果が期待できる。
例)東証REIT指数に連動するファンドを組み入れる → 不動産市場からの収益も取り込める。
金や原油などの商品に連動するファンドを組み入れることで、インフレヘッジにもなる。



これらを適切に組み合わせることで、株式市場の変動リスクを軽減しつつ、長期的な資産形成を目指しましょう。
出口戦略を考えながら投資するべし
インデックス投資を始める際に、「いつ、どのように資金を引き出すか」という出口戦略を考えておくことが重要です。
退職年齢などの目標時期に向けて、自動的に資産配分を調整していくファンドを利用する。
定期的に資産配分を元の比率に戻すことで、リスクを一定に保ちつつ、利益確定の機会を作れる。
資金を引き出す際に、一度に全額を引き出すのではなく、定期的に少しずつ引き出していく。
→ 市場のタイミングリスクを軽減できる。



これらの戦略を事前に検討しておくことで、市場の変動に振り回されずに、冷静な判断ができるようになりますよ。
投資の目的をハッキリさせれば迷わない
インデックス投資を続けるかどうか迷った時こそ、投資の目的を再確認することが大切です。
長期的な視点で考えれば、短期的な市場変動に一喜一憂しなくてすむ。
目標金額と必要な時期を明確にすることで、計画的な資産形成ができる。
インフレに負けない程度の運用を目指すなら、インデックス投資は有効な選択肢の一つ。



投資の目的が明確なら、一時的な市場の下落にも動じることなく、長期的な視点を保てます。


まとめ:「やめるかどうか」は目的で決まる!長期投資の本質を考えよう
インデックス投資は多くの人にとって有効な資産形成の手段。ただし、すべての人に適しているわけではありません。
この記事を通じて、インデックス投資の課題や、インデックス投資が向いていない人の特徴について理解を深めていただけたでしょうか。
重要なのは、自分の価値観、目標、リスク許容度に合った投資方法を選ぶこと。なぜなら、インデックス投資をやめるか続けるかの判断は、個人の状況によってまったく異なるからです。
もし「自分には向かないかな?」と思っても、即決はしないでください。完全にやめる前に、ポートフォリオの見直しや出口戦略の検討など、工夫できる点もあります。
ぜひ、あなたに合った投資スタイルを見つけ、長期的な視点で資産形成を進めていきましょう。



最後まで読んでくださって ありがとうございます。FPコラムでは ほかにもお金と生活インフラに関する記事を書いてるので、ぜひチェックしてくださいね!
【執筆者:内田 正雄(Uchida Masao)】
ファイナンシャルプランナー(FP)|住宅ローンアドバイザー|宅建士(資格者)|証券外務員一種
タヌキと出会うのが珍しくない、のんびりした郊外に住む ファイナンシャルプランナー(FP)。横浜国立大学を卒業後、ミサワホームに入社。マイホーム取得という大きな買い物をサポートするためにFP資格を取得。ライフプランを作る重要性に目覚め、住宅ローンの有料相談を展開する保険代理店などで多くの経験を積んだ。豊かなライフスタイルにつながる情報を発信中。