「クレジットカードのステータスってくだらない」と思うのは私だけ? 友人にドヤ顔されて、ドン引きしちゃった…。
こんな疑問を解決するために、わかりやすく記事を書きました。執筆は相談実績15年以上の現役ファイナンシャルプランナー(FP)が担当しています。
そういう感覚の人が増えている印象です。決して あなただけじゃないので、安心してください。
本記事では、クレジットカードのステータスがくだらないと言われる理由や、ステータスにこだわって家計に悪影響を及ぼした実例、さらに 実用性でクレジットカードを選ぶ方法を紹介します。
それでは早速、FP相談の実務で得たエッセンスをお伝えしていきましょう。
クレジットカードのステータスがくだらないと言われる理由
みなさんご存じのとおり、クレジットカードにはランクがあります。
下から順に並べると「一般」、「ゴールド」、「プラチナ」、「ブラック」。本記事では「一般」以外のカードを“ステータスカード”と呼ぶことにしましょう。
ちなみに、ステータスカードは年会費を払わなくてはいけません。
・ゴールド: 2,000円~2万円(一定の条件を満たすと年会費無料のケースもある)
・プラチナ: 2万円~10万円
・ブラック: 5万円~35万円
さて、それでは早速「クレジットカードのステータスがくだらない」と言われる理由を解説します。
ステータスカードは時代遅れ?
ステータスのあるクレジットカードを持っていると、それだけで相手から信用されるからね。年会費は高いけど、手放せないよ。
「社会的地位」や「成功」を象徴していると言われていた時代もありましたが、はたして今はどうでしょうか?
家計改善のFP相談で、クレジットカードに高額な年会費を払っている人がいました。
奥さんは「もったいないから、年会費無料のカードにしてほしい」と主張。でも、旦那さんは頑として譲りません。どうやら、ステータスカードで“もてはやされた”経験があるようです。
ただ、こういう感覚は時代遅れかも。仕事柄 金融関係のプロと情報交換する機会が多い私は、クレジットカード会社のベテラン社員から 次のような話を聞いたことがあります。
店員はクレジットカードの色(ステータス)なんか見てないよ。
ゴールドやプラチナは、お金(年会費)を払えば 誰でも持てるからね。
昔は電話で承認番号を取ってたからゴールドの意味があったけど、今はオンラインだからどれでも同じさ。
※かつては ゴールドカードなら承認番号不要だった(一定額以下)
私も、ステータスカードを見せられたら「スゴイですね」って反応しますよ。でも、それが“お世辞”じゃないかと言われたら、否定できません。
そもそも、(店員以外の)他人にクレジットカードを見せるって、何が目的なんでしょう? けっきょく「マウントを取りたいだけじゃん」と思われのがオチですよね(決して口には出しませんが)。
年会費とサービスの質が見合わない
コンシェルジュサービスって、想像してたクオリティーじゃなかったわ。なんか期待外れでガッカリ…。
「対価(年会費)に見合わない」と感じたんですね。だとしたら、あなたにステータスカードの恩恵は無いのかもしれません。
これは資産運用のFP相談にいらした女性のご意見です。旅行が趣味で、航空券・ホテルの予約やレストランの手配が楽になると思っていたが、いざ使ってみると「自分でやったほうがマシ」なレベルだったとか…。
いっぽうで「コンシェルジュサービスは素晴らしい!」と満足している人もいるでしょう。
【コンシェルジュサービスの利用条件 】
「プラチナ」または「ブラック」カード会員であること。基本的にクレジットカード会社を問わず 同じ条件。
【利用料金】
基本的に無料(クレジットカード年会費に含まれている)。
【新幹線・航空チケットの予約】
・行き先と出発時間を伝えれば、新幹線の切符や航空チケットの手配をしてくれる
【宿泊予約】
・希望のホテルや宿泊日数を伝えると、予約を代行してくれる。
・ホテルが満室の場合、似た条件のホテルを探してくれる。
【レストランの予約】
・目的や人数を伝えれば、最適なお店を提案してくれる。
・優待サービス(※)の対象になる店舗をコンシェルジュが探してくれる。
※:特別席の予約。2名以上のコース料理注文で、会員1名分が無料など
【演劇・舞台などのチケット手配】
・サービス対象の演劇や舞台ならチケットの手配をしてくれる。
・迷っているときは、オススメを提案してくれる。
【海外旅行中のサポート】外国語が苦手な人や、現地の事情に不安な人には心強い
・オススメの観光プランを提案してくれる。
・各種チケットを予約してくれる。
・ケガや病気のとき、緊急アシスタンスサービス(カード付帯保険)を紹介してくれる。
とはいえ、“スマホひとつ”で何でもできるようになりましたからね。
オンラインで航空券やホテルの予約はできるし、レストランは“口コミ”のほうが信用できる。さらに言えば「○○割」とか、「○○カードで予約(決済)するとポイント5倍」まで絡めて選ぶとなれば…。
コンシェルジュにはなかなか辛いご時世。なるほど「自分でやったほうがいい」という判断も頷けます。
スティーブ・ジョブズは生涯一般カードだった
ステータスカードってダサくない? なんか、そういうの“チラ見せ”する人って尊敬できないんだよね。
FP相談でも、同じ意見の人が増えました。若い世代を中心に「飾りじゃなくて、中身を重視する」傾向が強まっているのでしょう。
Microsoftのビル・ゲイツ氏や、著名投資家のウォーレン・バフェット氏は、(ステータスの低い)一般カードを使っている。これは有名な話です。
そういえば、日本人が大好きなiPhoneを開発したApple創業者 スティーブ・ジョブズ氏も、生涯アメックスのグリーンカードだったと聞きました。
彼らほどの社会的地位と資産があれば、最上級のステータスカードを付与されるはず。それなのに、一般カードを使う理由は何でしょうか?
「クレジットカードのステータスなんて、くだらない」。私には、そんな声が聞こえてきます。
コスパを追求しなければ事業を成功に導くことはできないでしょうし、有望な投資先を判断するには、物事の本質を見極める目が必要です。
その経験とスキルを持った彼らは、ステータスカードを選ばなかった。
あなたが他者から“スゴイ”と思われたいなら、ステータスカードは邪魔になるかもしれません。
くだらないステータスにこだわるとクレジットカード貧乏になる
ここからは、FP相談の実例をご紹介しましょう。
クレジットカードのステータスにこだわったり、付帯サービスに対する意識が強すぎたりして、家計に悪影響を及ぼしたケースです。
きっと、“反面教師”として参考になると思いますよ。
※個人を特定できないよう、設定を多少変えています。
ショボいと思われたくないから派手に使う
プラチナカードを使ってるのに、安物なんて買えないわよ。だって、お会計するショップの店員に「ショボい」と思われたくないもの。
ちょっと自意識過剰な気がしますが…。まぁ、高額品を買ってもらったほうが、店員さんは喜ぶでしょうね。
お金を使い過ぎてしまうタイプの人が、言いがちなセリフです。ブランド品が大好きなA子さんもそうでした。
浪費癖が治らず、困り果てた旦那さんに連れられて FP相談に来たA子さん。
たしかにA子さんは高収入で、プラチナカードを持っていても不思議ではありません。でも、収入以上に買い物をするから毎月赤字…。必要以上に周りの目を気にする性格のようです。
彼女の口癖は「みっともない」でした。自分くらいの地位(大企業のシニアマネージャー)と収入があれば、ブランド品に包まれてなければ“みっともない”という言い分。
相談が進んでいくうちに、A子さんの口から出たのが次の言葉です。
一流品を身に着けていれば、私も一流になれる。
だから、お金は心配しなくていい。一流になれば、もっとたくさん稼げるから。
順序が逆になっていることに 本人が気づいてません。「もっと稼いでから、その範囲で使う」のが正解。よく聞けば、プラチナカードを持ちたかった動機も これでした。
A子さん夫妻が「高収入なのに貯金ゼロ」の状態から抜け出すのに、費やした時間は3年。旦那さんと二人三脚で奮闘中、何度も挫折しそうになったのを覚えています。
これは あくまで使う人の問題ですが、ステータスカードがもたらした弊害の一例でしょう。
付帯サービスを使わないともったいない?
「プライオリティ・パス」って最高だよね! 使わきゃもったいないから、海外旅行しまくってるんだ。
今はそれでいいかもしれませんが、将来の家計も考えておかないと後悔しますよ。
ステータスカードに付帯している「プライオリティ・パス」が仇になったケースを紹介しましょう。
【世界中の空港ラウンジが利用できる】
提携空港ラウンジは1,500ヵ所以上。海外はもちろん、日本国内でも、成田国際空港、中部国際空港、関西国際空港などが対象。
【軽食やドリンクが提供される】
搭乗までの待ち時間を軽食やドリンク(アルコール類を含む)を楽しみながら ゆったりと過ごせる。
【Wi-Fiや電源が無料で使える】
ビジネスに限らず、プライベートでも使用頻度の高いWi-Fiを利用できる。また、ラウンジには充電設備もあるので、バッテリー切れの心配もない。
【同伴者もOK】
登録している本人だけでなく(料金を払えば)同伴者も利用できるため、家族旅行でも安心。
相談者のB夫さんは、学生時代からの海外旅行マニア。今は妻と幼児2人を支える大黒柱として、残業も苦にせず働いています。
そんな彼が、ずっと憧れていたのが「プライオリティ・パス」でした。空港ラウンジで優雅にアルコールを愉しむ人たちを横目に、「いつかきっと、自分も あそこへ入るぞ」と心に決めていたのです。
やがて B夫さんは「プライオリティ・パス」目当てで、ステータスカードを手に入れました。某クレジットカード会社のプラチナカードの付帯サービスとして、本人は回数無制限(無料)で利用できます。
その後は「使い倒さなきゃ損だ!」と旅行三昧。マイホームや教育資金の準備がまったくできない状況に、奥さんも堪忍袋の緒が切れました。
付帯サービスを利用するために、お金の使い方を間違えてしまう…。まさに本末転倒ですね。
レアケースかもしれませんが、これもステータスカードが関連する悲劇と言えるでしょう。
年収が下がっても一般カードに変えたくない
僕がプラチナカードを持ってるのは、同僚や友人も知ってる。今さら一般カードなんかに変えられないよ。
気持ちは理解できます。でも、家計の状況を考えると 見栄を張っている場合じゃありません。
最後は、プライドが邪魔をして家計が苦しくなったケースをお伝えします。
「いちど上げてしまった生活水準は、なかなか下げられない」って聞いたことはないでしょうか? 家計相談で来訪したC太さんが典型でした。
外資系企業にお勤めのC太さん。30代前半で1,000万円を超える年収を得ていたのですが、業績の悪化に伴い 収入が半減。瞬く間に、家計は赤字へ転落しました。
支出を削減するべきとは分かっていても、世間体を気にして なかなか行動に移せません。
私のアドバイスに対する、C太さんの返答はこんなふうでした。
・高級外車を手放して、コンパクトカーに。
→ ご近所から、哀れみの視線を浴びせられる気がする。
・家庭教師をつけるのをやめて、通信教育で独学に。
→ 子どもに なんて説明したらいいのか分からない。不甲斐ない親だと思われたくない。
・ステータスカードを解約して、年会費無料のクレジットカードに。
→ カード会社に申し出るのも恥ずかしいし、同僚や友人に「一般カード」を見られたら嫌だ。
そうこうしているうちに預貯金が底をつき、ようやく重い腰を上げたC太さん。もう少し早く対策を講じていれば、選択肢も多かったことでしょう。
C太さんとお話をしていると、ステータスカードは「見栄の象徴」のような気がしてなりませんでした。だとしたら、実にくだらないと思います。
ステータスがくだらないと思うなら実用性でクレジットカードを選ぼう
ここまで読んで「ステータスなんてくだらない」と思った人は、実用性でクレジットカードを選びましょう。
具体的には、金銭的メリット(年会費、ポイント)や使い勝手(例:持ち歩かなくていい)で判断することになります。
しっかりポイントを抑えて、“魅力的な1枚”を見つけてください。
年会費無料でポイント還元率が高いカードはプロにも人気
クレジットカード会社の人は、どんなカードを使っているのでしょう? 私の聞いた話では、年会費無料&ポイント高還元率が人気です。
先ほども登場した、クレジットカード会社のベテラン社員から 聞いた話をご紹介します。
年会費無料は当たり前。楽天カードはポイント還元率が高いから同僚の間でも人気だよ。
※楽天グループ社員ではありません。
ステータスとかいらないから、JCBを1枚持ってればいいんじゃない? 海外に行くならVISAもあると安心。
あえてステータスカードを選ぶ理由を挙げるとしたら、海外旅行保険くらいかな。頻繁に海外旅行に行く人限定だけどね。それでも、年会費無料のゴールドで充分だと思う。
クレジットカードを知り尽くしたプロは、ステータスカードなど見向きもせず 実用性でカードを選んでいるんですね(あくまで個人の見解ですが)。
「ステータスなんてくだらない」と思う人。ぜひ参考にしましょう。
QR決済とクレジットカードを連動させれば2度オイシイ
QRコード決済のチャージ用にクレジットカードを紐づけておけば、現物のクレジットカードを持ち歩く必要がありません。
QRコード決済でポイントがもらえるうえに クレジットカードのポイントまで貯まる、大変お得な方法です。
スマホにインストールしたQRコード決済専用アプリで、QRコードを提示したり QRコードを読み取ったりして支払う決済手段のこと。
新型コロナウイルス感染拡大時に進んだキャッシュレス化で、QRコード決済の利用率は増加している。とくに小売店や飲食店での普及が顕著。
代表的なサービスに、PayPay、楽天ペイ、au PAY、d払い、LINE Pay、Fami Pay などがある。
オートチャージ機能があるQRコード決済なら、ぜひクレジットカードを紐づけておきましょう。支払残高がなくなると自動的にチャージされるから手間も省けます。
ただし、チャージできるクレジットカードに制限が設けられているケースや、そもそもクレジットカードからのチャージができないケースもあるので、事前によく確認してください。
・楽天ペイ×楽天カード
・PayPay×PayPayカード
・au PAY×au PAYゴールドカード
QRコード決済は ポイント還元などの大規模なキャンペーンが行われたりしますが、「チャージが面倒くさい」という人も多いでしょう。
でも、クレジットカードと連携してしまえば、まるっと解決。それどころか、QRコード決済とクレジットカードのダブルでポイントが貯まるんですから やらない手はありません。
カードレスタイプなら持ち歩かなくていい
カードレスタイプのクレジットカードをご存じですか? 物理的なカードが発行されず、すぐに使えるので人気がありますよ。
クレジットカードといえば プラスチックで作られた物理的なモノが一般的ですが、カードレスタイプは現物が存在しないため 主にスマホを通じて利用します。
いつでも持ち歩いているスマホで使えるため、2021年に登場した三井住友カード(CL)を皮切りに 種類も増えてきました。
・即時発行が基本(最短で数分)→申込手続きしたら すぐ使える
・スマホだけで利用できる →現物のクレジットカードを持ち歩く必要がない
・物理的なカードが不要だから 環境に優しい
ネットショッピングでの使い方は一般的なクレジットカードと変わりませんが(カード番号とセキュリティーコードを入力)、リアルの店舗ではタッチ決済しか利用できないので注意が必要です。
タッチ決済に対応しておらず、現物のクレジットカードを端末に挿入する方法しかないお店もありますから、予備の決済方法(物理的なクレジットカードや QRコード決済、現金など)がないと不安でしょう。
・三井住友カード(CL)
・Visa LINE Payクレジットカード(P+)
・SAISON CARD Digital for becoz
カードレスタイプのクレジットカードは便利な反面、スマホがバッテリー切れになれば決済できません。あまりないケースでしょうが、バッテリーが劣化した古いスマホを使っている人は気をつけてください。
まとめ:クレジットカードのステータスを批判するのは“くだらない”
クレジットカードをステータスで選ぶ時代は、とっくに終わっている。一人のFPとして そう思います。
インターネット、スマホ、SNS、EV…。技術の進歩が加速していく先には、虚飾を取り払って 本質で勝負する世界が待っているのではないでしょうか。
いずれにしても、私たちが希求するのは「多様性を尊重する」社会です。
ステータスを重視する人がいれば、ステータスをくだらないと思う人もいる。お互いを批判することなく、自分の価値観にあった選択をしていきましょう。
それではラスト。大事なことを忘れないように、もういちどポイントの復習をして筆を置きますね。
・「ステータスカードでマウントを取るのは恥ずかしい」と心得る。
・オンライン予約が当たり前の昨今、コンシェルジュサービスの優位性が失われつつある。
・若い世代を中心に「飾りじゃなくて、中身を重視する」傾向が強まっている。
・ステータスカードが一因となって、派手な購買行動に出るケースもある。
・付帯サービスを利用するために お金の使い方を間違えてしまったら、本末転倒。
・ステータスカードが「見栄の象徴」になって 家計を苦しめないよう気をつける。
・実用性でクレジットカードを選ぶなら、年会費無料&ポイント高還元率。
・QR決済とクレジットカードを連動させれば、ダブルでポイントが貯まる。
・カードレスタイプなら、そもそもクレジットカードを持ち歩く必要すらない。
最後まで読んでくださって ありがとうございます。FPコラムでは ほかにもお金と生活インフラに関する記事を書いてるので、ぜひチェックしてくださいね!
【執筆者:内田 正雄(Uchida Masao)】
ファイナンシャルプランナー(FP)|住宅ローンアドバイザー|宅建士(資格者)|証券外務員一種
タヌキと出会うのが珍しくない、のんびりした郊外に住む ファイナンシャルプランナー(FP)。横浜国立大学を卒業後、ミサワホームに入社。マイホーム取得という大きな買い物をサポートするためにFP資格を取得。ライフプランを作る重要性に目覚め、住宅ローンの有料相談を展開する保険代理店などで多くの経験を積んだ。豊かなライフスタイルにつながる情報を発信中。