「今月は住宅ローンが払えないんじゃないか」と不安で眠れない。ギリギリの生活には、もう疲れ果てたよ。
こんな悩みを抱えていませんか? 住宅ローン相談をたくさん受けてきた ファイナンシャルプランナー(FP)が、この記事で とくに重要だと思うポイントを解説していきますね。
お金の不安から解放されて熟睡するには、赤字の原因を理解することから始めましょう。
これからお伝えする情報に目を通せば「ギリギリの生活から抜け出す」その具体的な方法がわかります。
ギリギリの生活は ほんとうに住宅ローンが原因なのか?
食料品から電気ガス、ガソリンまで いろんなものが値上がりして、毎月ギリギリの生活よ。住宅ローンなんて借りるんじゃなかった…。
たしかに住宅ローンは大きな固定費ですよね。でも、ギリギリの生活になった原因は物価高騰以外にもありそうです。
良い機会ですから、原因をしっかり洗い出して 解決策を考えましょう。
住宅ローンを借りている人は、みなさん長期返済です。たとえば30歳のときに35年ローンを組んだら 完済は65歳。そのあいだ、いろんなことが起こります。
会社の業績悪化、転職による減収、子どもの誕生~巣立ち、病気、ケガ、親の介護…。赤字につながりそうな要素を数え上げたらキリがありません。問題は けっこう複雑なんです。
それでは早速、ギリギリの生活になる原因をお伝えしていきますね。
無謀な金額を借りてしまった
わたしの収入だと、いくらまで借りられますか?
この質問は、住宅展示場のFP相談で たくさん受けました。ご相談者の意図は2通りあったと思います。
① 普段の生活が住宅ローンに脅かされることなく、完済できる借入金額
② 金融機関が融資してくれる上限の金額
マイホーム購入の予算を決めるとき、たいていの人は①で設定しようと考えるんです。でも、その金額をどうやって計算すればいいのか わからない。
いっぽう②は じぶんで調べなくても 金融機関が決めてくれますし、「いいな」と思う物件ほど高額になるので、結局②の金額に近づいてしまう人が多かったですね。
金融機関は、年収に見合った適正な金額しか貸さないでしょ?
そう信じたい気持ちはわかります。では、金融機関が審査する項目を見てください。
【本人属性】収入の金額と安定性、年齢、健康状態、勤続年数
【担保評価】購入予定の不動産(土地・建物)の価値
【借入状況】すでに借入中のローンを合計した新規借入額と 収入の割合(返済負担率)
【信用情報】過去の延滞歴(対象は、ローン・スマホ端末分割払・クレジットカード支払など)
ここで出てきた「返済負担率」というのが、いくらまで融資するのかを決めるポイントです。
この返済負担率には、金融機関によって上限が設けられています。
【住宅金融支援機構(フラット35】
35%以下(年収400万円以上)、30%以下(年収400万円未満)
【民間の金融機関】
概ね 25%~40%以下
ぼくの年収は500万円なんだけど、どうなるのかな?
実際に計算してみますね。500万円×35%=175万円(年間返済額)ですから、毎月の住宅ローンは約14万5,800円になります。この場合、下記の条件なら約4,500万円まで借りられるでしょう。
適用金利1.880%(全期間固定金利)、返済期間35年、元利均等払
こんなに借りて、ムリなく返せると思いますか?
肝心なのは“額面の収入”じゃなくて“手取りの収入”です。年収500万円の手取り収入を、ボーナス割合別にまとめてみたのでご覧ください。
ボーナス | 手取りの年収 | 手取りの月収 |
なし | 400万円 | 33万円 |
1か月分 | 390万円 | 30万円 |
2か月分 | 389万円 | 28万円 |
3か月分 | 388万円 | 26万円 |
4か月分 | 388万円 | 24万円 |
ボーナス2か月分の会社に勤めてる人なら、手取り月収は約28万円です。もし ②の金額まで住宅ローンを借りると毎月の返済額は14万5,800円なので、残金は約13万円に…。これではギリギリの生活になっても 不思議じゃありません。
「借りられる金額」と「ムリなく返済できる金額」は、ぜんぜん違うんです
ケガや病気のリスクヘッジをしていなかった
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言は記憶に新しいところですが、100年に一度と言われるパンデミックで仕事ができなくなり、収入が不安定になる人たちが相次ぎました。
もし 飲食業や観光業に従事してたら、ギリギリの生活になったかも…。
さすがに これほど大規模な災禍であれば、さまざまな救済措置が講じられます。たとえば、売り上げが減った企業に実質無利子・無担保で融資する、いわゆるゼロゼロ融資のような制度ですね。
では、個人的なケガや病気によって 満足に働けなくなった場合はどうでしょう?
もちろん、金融機関に相談すれば 返済方法を変更してもらえる可能性はあります。まずは躊躇せずに問い合わせてください。
返済に困ったら、負担を減らしてくれるのね
ただし、すべての申し出に応じてくれるとは限りません。やはり、ケガや病気に対するリスクヘッジは じぶんで用意しておきましょう。
ケガの備えは傷害保険、病気の備えは入院保険(医療保険)がメジャーなところです。そのほか、ガン保険や就業不能保険もチェックしておくといいですよ。
ケガや病気のリスクヘッジは、ふくろうの保険Naviにご相談ください。ファイナンシャルプランナー(FP)が無料でアドバイスいたします。
子どもの教育費を甘く見ていた
子どもが小学校に入学する前には 家を買いたいわ!
入学後に同じ学区内で 家を買うのは難しいので、あわてて家を買うファミリーが とても多い。「子どもを転校させたくない」という親ゴコロですね。
でも、その親ゴコロが裏目に出るのを ご存知でしょうか?
子どもが小さいうちは それほどお金がかかりませんから、「将来、お金がかかるよ」なんて言われても実感が沸かない。そんな状態で 目一杯の住宅ローンを借りてしまうと、ギリギリの生活が待ち受けています。
FP相談で、よくあるケースを見てください。
小学校の高学年。塾やお稽古事に通い出し、しだいに家計の収支が悪化(住宅ローンが重荷)
→ その後はずっと貯金ができない状態が続く
→ 公立中学に入学したが、進学塾に通わないと授業についていけなくなる
→ 途中で塾をやめるわけにもいかず、高校受験まで継続。月謝はどんどん上がる
→ 第一志望の公立高校に合格したものの、部活の遠征費用や通学定期代など 意外にお金がかかる
→ これから大学受験の塾にも通わなければならないし、もうこの時点でギリギリの生活!
教育費のピークは大学なんですが、半数の学生が奨学金を借りています。ぜんぜん余裕なんて無い。子どもが 1人でも、こういったケースは珍しくないので、2人以上いれば さらに大変でしょう。
大学院の進学率も高まってるし、外国語やグローバル系学部なら 留学するかもしれないな…。
はい。だからこそ、教育資金の積み立ては子どもが小さいうちに始めてください。遅くとも中3までには“大学卒業までの費用を”貯めておかなきゃ間に合わないんです。
「住宅ローンのせいで 子どもの進路が閉ざされる」なんて、絶対に避けなければいけません。
住宅ローンによる ギリギリの生活を抜け出す方法3選
原因は よくわかった。でも、どうしたらギリギリの生活から抜け出せるんだろう?
まずは落ち着いて、家計の状態を分析しましょう。アプリを使ってもいいですし、簡単なエクセルでもOK。手書きの家計簿でも構いませんが、自動計算してくれて修正が簡単なデジタルツールがわたしのオススメです。
収支を改善するための具体的な金額を把握したら、じぶんに合った方法を調べて どんどん行動してください。赤字が続いて預金残高が減っていく状況を、一日も早く止めなければいけません。
具体的にどんな方法があるのか、しっかりお伝えしていきますね。
① 有利な条件の住宅ローンに借り換える
住宅ローンの借り換えを検討したことはありますか? いま借りている住宅ローンより低い金利で借り換えられたら毎月の返済額が安くなりますよ。
なんだか、調べたり 比較したりするのって面倒ね
それが、住宅ローン比較サービスを使えば とってもカンタンなんです。たいてい無料なので、使わないのは損だと思いませんか?
たとえばモゲチェックが提供する無料サービス「モゲレコ」なら、所要時間は たったの5分なのに、こんな お役立ち情報がゲットできますよ。
・借り換えのメリット(毎月の返済額が どれだけ減らせるか)
・オススメの銀行(もちろん、オススメの理由も)
・上手に借り換えするためのアドバイス
ぼくの住宅ローンは金利1.2%なんだけど、ちょっとでも金利が低ければ借り換えた方がいいの?
それでは具体例で考えてみましょう。2023年10月の「auじぶん銀行の金利優遇割」は0.148%です。いまの住宅ローンから借り換えたら、毎月の返済額はどうなるのでしょうか?
返済中の銀行 | auじぶん銀行 | 差額 | |
借入額(ローン残高) | 3,000万円 | 3,000万円 | 0円 |
金利 | 1.2% | 0.148% | 1.052ポイント |
月々の返済額 | 99,272円 | 85,202円 | ▲14,070円 |
年間の合計返済額 | 1,191,264円 | 1,022,424円 | ▲168,840円 |
30年の総返済額 | 35,737,974円 | 30,887,597円 | ▲4,850,377円 |
住宅ローンが毎月 1万4千円も安くなれば、ギリギリの生活から抜け出す元気が湧いてきますよね。積極的に検討してみましょう。
さて、ここで注意点。借り換えの諸費用に気をつけてください。
・事務手数料(金融機関によって異なる)
・印紙税(ローン契約にかかる法定費用)
・登録免許税(抵当権設定にかかる税金)
・司法書士報酬(現在の抵当権抹消と借換えの抵当権設定にかかる費用)
さきほどの例に挙げた借り換えをするには 諸費用が約90万円かかりますが、手持ち金で払わずに auじぶん銀行の住宅ローンで諸費用まで借りることもできるんです。
その場合、借り換えメリットはどうなるでしょう?
返済中の銀行 | auじぶん銀行 | 差額 | |
借入額(ローン残高) | 3,000万円 | 3,090万円 | 0円 |
金利 | 1.2% | 0.148% | 1.052ポイント |
月々の返済額 | 99,272円 | 87,758円 | ▲11,514円 |
年間の合計返済額 | 1,191,264円 | 1,053,096円 | ▲138,168円 |
30年の総返済額 | 35,737,974円 | 31,592,774円 | ▲4,145,200円 |
さっきの借り換え試算より、毎月の返済額が2,556円 高くなったわ…。
諸費用は あきらかにムダなコストです。とくに事務手数料は金融機関によって異なりますので、検討するときは金利の高低だけでなく 諸費用を含めた総返済額で比較するようにしてください。
② 収入を増やす
いまの勤め先から給与を増やしてもらえたらベストですが、なかなか難しいですよね。残業は上限があるし、仕事ぶりが認められて昇給するまでには時間がかかるでしょう。
でも、副業なら すぐに稼げるかもしれませんよ
いま、いろんな会社で副業解禁の流れが進んでいます。副業の実態を見てみましょう。
明確に副業を禁止しているのは半数。厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」で副業を推してますから、ますます副業を認める動きは広がっていくでしょう。
副業は認められてるけど 本業と同業種はNGだし、他に資格も特技もないから、ぼくにはムリかも…。
それなら短期バイトはどうですか? 休日を犠牲にしなくても、仕事帰りに1時間だけ働くこともできますよ。移動のロスを省くため、通勤電車の沿線で探すのがオススメです。
【メリット】
・スキマ時間を活用できる(土日に2時間だけ、仕事帰りに1時間だけもOK)
・働いた時間だけ、確実に稼げる
・自宅や勤務先の最寄りから探せる
【具 体 例】
400万人が登録している「Timee(タイミー)」なら面接や履歴書が不要。最短1時間から働けます。
まだ子どもが小さいから、帰宅が遅くなることで 寂しい思いをさせたくないわ
なるほど。ムリに外で働かなくても、子ども一緒に家で過ごしながら稼げる副業もありますよ。
【メリット】
・時間の制約がないから、じぶんのペースで働ける
・在宅で稼げるから、他人の目が気にならない
・スマホやPCを使って すぐ始められる
【具 体 例】
「クラウドワークス」は1~2分で登録OK。常時10,000件以上の中から仕事を見つけられます。
最初から頑張り過ぎると燃え尽きてしまいます。慣れるまでは短時間から始めて、継続収入が得られるように計画しましょう。
③ 支出を減らす
住宅ローンでギリギリの生活になったとき、最初に考えるのが節約だと思います。
買い物はネットでチェックして、少しでも安いスーパーで買うようにしてるわ
いいですね。他にもこんなところをチェックしておきましょう。
【電気・ガス料金】
「電気・ガス料金比較」(価格ドットコム)で確認。都市ガスやプロパンガスにも対応。
【通信料金(家のネット接続、スマホのプラン)】
「インターネット回線|料金比較」(価格ドットコム)で確認。家のネット~Wi-Fiモバイル回線まで網羅。
「スマートフォン料金プラン比較」(価格ドットコム)で確認。大手キャリアだけでなく格安SIMも比較。
【生命保険・損害保険】
→「ふくろうの保険Navi」に相談。ファイナンシャルプランナー(FP)が無料でアドバイス。
・できるだけ自炊にして、外食や中食(惣菜、弁当)は控えているか?
・出掛ける前に買い物リストを書くなど、余計な出費をしない習慣があるか?
・冷蔵庫の中身を把握して、食品ロスを減らしているか?
節約は固定費から始めましょう。いちど削減できれば、効果がずっと続きます。いっぽう、変動費は努力の積み重ねなので 結構しんどいです。
あんまり変動費の節約をやり過ぎると、毎日の生活がギスギスして ストレスがたまります。それで病気にでもなったら本末転倒ですよね。ゆる~く始めて、たまに ご褒美。こんな感じで続けてください。
まとめ:いつの日か「あのときはギリギリの生活だったな」と懐かしもう
毎月赤字の生活。預金通帳の残高が減り続けていく状況は ほんとうに辛いですよね。追いつめられた毎日を過ごしていると、なんだか自分が否定されているような気持ちになってくるでしょう。
でも、そんなギリギリの生活を1日でも早く抜け出したいなら、落ち込んでいる場合じゃありません。お金なんて タダの数字。そう割り切って冷静に行動するんです。
この記事で “ギリギリの生活を抜け出す方法”を学んだ あなたなら きっと大丈夫。「やってやれないことはない。やらずにできるわけがない」という気持ちで、いろんなチャレンジを楽しんでください。
最後にもういちどポイントをまとめます。
・住宅ローンの「借りられる金額」と「ムリなく返せる金額」はぜんぜん違う
・35年 稼ぎ続けるためにはカラダが資本。ケガや病気のリスクヘッジをしておこう
・子どもの教育費を甘く見るな。小さいうちに積み立てを始めなければ間に合わない
・本業の収入アップを期待できないなら、副業で稼ぐ
・節約は固定費から。変動費をやり過ぎるとストレスがたまる
あなたが、いつか住宅ローンを完済して「あのときはギリギリの生活だったなぁ」と懐かしむ日が来ることを祈ってます!
【執筆者:内田 正雄(Uchida Masao)】
ファイナンシャルプランナー(FP)|住宅ローンアドバイザー|宅建士(資格者)|証券外務員一種
タヌキと出会うのが珍しくない、のんびりした郊外に住む ファイナンシャルプランナー(FP)。横浜国立大学を卒業後、ミサワホームに入社。マイホーム取得という大きな買い物をサポートするためにFP資格を取得。ライフプランを作る重要性に目覚め、住宅ローンの有料相談を展開する保険代理店などで多くの経験を積んだ。豊かなライフスタイルにつながる情報を発信中。